保険調査会社の「営業」とはどんな仕事なのかイメージしにくいと思いますので、私の経験も踏まえて、業務の内容や進め方などをご説明します。お客様は損害保険会社で、私たちが直接やりとりするのは、各社で保険金支払いを行う部署の方々です。私は現在、当社との取引数が最も多い大手クライアントさん1社を担当していますが、複数社を受け持つ社員もいます。
仕事の流れとしては、お客様から調査事案を受注することするところからスタートします。その際にお客様の要望をしっかりヒアリングし、社に戻って調査の起案をします。「起案」とは、調査の趣旨や内容、方向性を定めることで、とても重要なポイントです。そこで見誤ると、調査結果に大きな影響を及ぼすからです。次に、その起案を基に、調査員に調査を依頼します。事案の難易度や専門性などから判断し、最適な調査員を選ばなくてはいけません。そして、調査期間中は定期的に調査員と連絡を取りながら進捗状況を管理し、上がってきたレポートを精査、審査します。不足している点、不確かな点などがあれば、再調査を要請し、最終的な報告書にまとめて納品します。お客様に提出する際は、補足コメントなどを添え、よりわかりやすく伝えることを心がけています。
損害保険と聞くと、まず自動車保険を思い浮かべる人が多いでしょうが、私たちが取り扱う事案は多岐に渡ります。火災保険、傷害保険、個人賠償保険や、自然災害を対象とした保険、サイバー攻撃に対応した保険などもあります。時代の変化や世の中のニーズに合わせて変化・進化している業界に身を置いているので、私たちが持つ知識や情報も、常にアップデートしなくてはいけません。
調査には、「深さ」も求められます。例えば、自動車の自損事故で運転者に飲酒の疑いが生じた場合、本人から事情を聞いても否定されることもあります。そんなケースでは、警察に事故時の状況を問い合わせたり、怪我をして搬送された病院から検査データを提供して貰ったり、事故前に立ち寄った飲食店に聞き込みをしたりして、裏付けを取ります。お客様と方針を相談しながら調査を進めて最終的な報告を行い、お客様から感謝、評価して貰った時は、大きな喜びとやりがいを感じます。また、医療機関などお客様企業以外の業種・領域とも接点があり、専門性が高い部分もあるので難しさもありますが、視野が広がり、学びも多いです。
入社以来、副主任、主任、支店長代理、現職の特命課長へとキャリアアップしてきました。次のステップに上がるたびに裁量と責任が増していくので、いつも気が引き締まります。後輩も増えて、相談され、アドバイスをする機会も多くなりました。新人、若手社員の成長を見守ることもやりがいの一つです。
今後、損害保険の裾野が拡大すれば、火災新種保険もますます多彩になっていくでしょう。それに伴い、当社への調査依頼も増し、新しい分野での調査を手がけることになるはずです。私もさらに幅広く、より専門性の高い知識を身につけようと考えています。資格取得にも積極的に取り組んでいきたいと考えます。火災新種保険の調査の時に役立つ様々な専門的知識、例えば落雷や危険物取扱、電気工事士の知識や資格の取得に挑戦したいです。複数の分野のエキスパートになって提案力を高め、お客様が頼れるパートナーを目指します。そして、損害保険リサーチの企業力アップにも貢献し、会社を盛り上げていきたいです。